「スポーツ視聴はコスパが悪い」
日本だけでなく世界中で、今の若い人たちの中には、そういう風潮があるようです。我われのようなサッカー中毒者からしたら、スポーツ視聴にコスパ??? どういうこと??? となるのですが、マジらしいです。
私の仕事場にも中日ドラゴンズのファンを公言している若手がいるのですが、よくよく話を聞いてみると、試合を通して視聴したことはほぼなく(そもそもDAZNの契約をしてない)、スポーツニュースでダイジェストを見たり、速報サイトで結果だけ確認して一喜一憂しているだけとのことでした。昔のように地方球団の放送が滅多に見られない環境ならまだしも、すぐに放送にアクセスできる手段のあるこのご時世で試合を見ないなんていう選択肢があるのかと私なんかは思いますが、実際あるんですよね……。理由を聞くと、やっぱり「コスパが悪い」だそうです。ちなみに、応援歌「燃えよドラゴンズ!」の存在も彼は知りませんでした。
ファスト視聴の時代
確かに、スポーツの視聴には膨大な時間が必要になります。サッカー・バスケなら約2時間、野球・アメフトだと3時間以上はみておかないといけません。それだけの時間をかけて見た後に、とんでもなくお寒い内容の試合だったらがっかりしますよね。両チームリスクを冒さず決定機もなく0-0で終わる塩試合のサッカーとか、前半折り返しの時点で30点差がついたバスケの試合とか、試合の前にあらかじめ勝利を祝うとか、毎年開幕1カ月半でシーズンが終わるニューヨーク・ジェッツの消化試合とかを見せられると、さすがのスポーツファンの私としても心をちいかわの世界に飛ばして「うふふ」「あはは」「泣いちゃった!」と戯れるしかなくなってしまいます。
もちろん、ぶっちぎり青天井の興奮が待ってるのもスポーツです。そういう試合での快感っていうのはなかなか他のことで味わえるものではありません。サッカーでも2-0ビハインドからの大逆転劇、ロスタイムでの逆転弾、シュートが雨あられと降り注ぐ圧倒的劣勢の試合を零封など、脳汁がドバドバ出るような試合が思い浮かびますよね。ただ、そんな劇的な試合が訪れるのって稀なんです。1シーズンに1回あるかどうか、もしくはまったくないとか。1週間以上、寝る前に毎日思い出す地獄のような試合はたくさんあるのに、この当たりの少なさと言ったら。なんという外れガチャエンタメなんでしょうか。
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tkq
世界ロングボール学会(WLBS)日本支部正会員。Jリーグの始まりとともに自我が芽生え、カントナキックとファウラーの薬物吸引パフォーマンスに魅了されて海外サッカーも見るように。たぶん前世でものすごく悪いことをしたので(魔女を10人くらい教会に引き渡したとか)、応援しているチームがJ2に約10年間幽閉されています。一晩パブで飲み明かした酔っ払いが明け方にレシートの裏に書いた詩のような文章を生み出そうと日々努力中です。【note】https://note.mu/tkq