テクニカルスタッフ。監督と信頼で繋がる、もう一つのチーム:リバプール
年々重要度が増しているテクニカルスタッフ。最先端のトレーニングを、選手たちに正しく実践させ、成長を促し、そして勝利に導く、監督を頂点とした“もう一つのチーム”を各クラブがどのように編成しているのか、その実態に迫る。
※『フットボリスタ第89号』より一部再編集し掲載
2015年10月にユルゲン・クロップが監督に就任してから6年7カ月。その間リバプールがチームに加えてきたのは、モハメド・サラーやファン・ダイクのような世界最高レベルの選手たちだけではない。各分野で最先端の理論を学び実践してきた実績のある専門家たちを次々とスタッフに加えてきた。2019年にはCL優勝、20年にはプレミアリーグ優勝と結果を出し、今季もリーグカップとFAカップを制しPLでは首位マンチェスター・シティと勝ち点1差の2位、CLでも決勝進出を果たしているのは、選手たちから最高のパフォーマンスを引き出してくれるエキスパートたちがいるからこそだ。
2人のアシスタントコーチのうち、マインツ時代の2001年から20年以上クロップの「相棒」としてビデオ分析官を務めているペーター・クラビーツは、対戦相手が得意なプレーや弱点を洗い出す。とりわけセットプレー時の相手の守り方に隙を見つける観察眼の鋭さには定評がある。プレミアを制した2019-20シーズン、リバプールはCKからリーグトップの11ゴールを決めているが、その背景には“クロップの眼”と呼ばれる分析官の仕事があった。……
Profile
田丸 由美子
ライター、フォトグラファー、大学講師、リバプール・サポーターズクラブ日本支部代表。年に2、3回のペースでヨーロッパを訪れ、リバプールの試合を中心に観戦するかたわら現地のファンを取材。イングランドのファンカルチャーやファンアクティビストたちの活動を紹介する記事を執筆中。ライフワークとして、ヨーロッパのフットボールスタジアムの写真を撮り続けている。スタジアムでウェディングフォトの撮影をしたことも。