日本サッカーと欧州サッカーは別物という意見があるように、「日本」と「世界」の差をフラットな目線で測ることは難しい。実際のところ両者の距離はどう変化しているのか? 日本の現場では何が起こっているのか? このタイミングで海外サッカー専門誌がJリーグを特集した理由と、取材を通して見えてきた現状について、フットボリスタ編集長の浅野賀一と、『フットボリスタJ』のマネージングディレクターを務めた北健一郎が、フットボリスタ・ラボのオンラインイベントで本音を語った。
――まずはあらためて、海外サッカー専門誌であるフットボリスタがJリーグに特化した別冊を作成した経緯を教えてください。
浅野「フットボリスタ本誌は特集主義を掲げていて、欧州サッカーの最前線で起こっていることを掘り下げてきました。ただ、その中で世界で起きているトレンドとJリーグで起きている流れが一致している部分はフラットな目線で本紙にも載せていきたいと考えていました。例えば、2016年4月の戦術パラダイムシフトの号(Issue031)では、日本サッカーの中のラングニック派という位置づけで当時湘南ベルマーレを率いていた曺貴裁監督のインタビューを掲載しましたが、1つの流れで違和感なく読んでくれたのかなと思います。
そういう意味で、以前から世界のサッカーのトレンドとJリーグのリンクしている部分を紹介することで、両者のファンを繋げたいという想いはあったのですが、2014年~2018年の頃の日本サッカーは世界の流れとリンクしづらくなっていて、結果的になかなか取り上げるのが難しかった。ただ、2019年の横浜F・マリノスの優勝が大きなきっかけだったと思いますが、ここ最近はJリーグと海外サッカーの距離が近くなった気がします。
ポジショナルプレーなどの戦術面はもちろん、プレーヤートレーディング(選手の価値を上げて売ることを主眼にした戦略)の考えなど、ピッチ内外で欧州のトレンドがかなり入ってくるようになってきました。それによって、フットボリスタがこれまで伝えてきたようなロジックでJリーグを見ると、また別の発見が出てくるのではないかなと。そこであらためて『フットボリスタJ』を創刊させていただいたという流れですね」
――北さんはフットボリスタ・ラボのフェイスブックに『どのクラブも喜んで取材を引き受けてくださった』と書き込まれていましたが、実際にどのような反応だったのでしょう?……
Profile
ジェイ
1980年生まれ、山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』浦和担当に。footballistaには2018年6月より不定期寄稿。心のクラブはレノファ山口、リーズ・ユナイテッド、アイルランド代表。