現地時間8月13日のボルシアMG対バイエルンを皮切りに、ついに開幕を迎える2021-22シーズンのブンデスリーガ。注目はなんと言っても、10連覇を狙うバイエルンの新指揮官に抜擢されたユリアン・ナーゲルスマンだろう。ホッフェンハイムやRBライプツィヒで指導現場に次々とテクノロジーを導入してきた青年監督は、初挑戦のビッグクラブでどんなイノベーションを起こしていくのか。ドイツ在住でゲーム分析をケルン体育大学で学ぶcologne_note氏に、現地の報道や過去の発言から読み解いてもらった。
9連覇中のバイエルンに招き入れられ、ドイツ代表監督に就任したハンジ・フリックの後任として脚光を浴びているユリアン・ナーゲルスマン。しかし、先月34歳になったばかりの若き新監督によるチームづくりは順調とは言い難い。EUROに出場していた代表組の合流が遅れたうえ守備陣にケガ人が続出しているため、プレシーズンの試合の大半を下部組織から連れてきた若手主体で戦わなければならなかったからだ。さらにようやく主力がそろいつつある中で迎える予定だった21-22シーズン初の公式戦、DFBポカール初戦も対戦相手のブレーマーSVに複数の新型コロナウイルス感染者が出てしまい延期に。ピッチ上で前体制からの移行が進まない中、ドイツメディアはピッチ外に注目。ナーゲルスマンによる改革が報じられている。
『シュポルトビルト』によれば、ナーゲルスマンはバイエルンの練習場のロッカールームにいくつかのスクリーンを持ち込みデザインを変更。さらに全選手にスポーツ分析ツール開発会社hudlの映像共有アプリのスマートフォンへのインストールを義務づけたという。チームに合流できていない選手にミーティングの録画を送ることで、新指揮官が掲げるサッカーへの理解を少しでも早める狙いだ。hudlの製品はすでにブンデスリーガでも多くのクラブが使用しており、導入自体は特に目新しいことではない。それでも活用事例としてあらためて関心が集まっているのは、ホッフェンハイムU-19監督時代から様々なテクノロジーを駆使してきた「ラップトップ世代」の代表格であるナーゲルスマンだからこそだ。
映像共有も「一つのコミュニケーションの形」
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Profile
cologne_note
ドイツ在住。日本の大学を卒業後に渡独。ケルン体育大学でスポーツ科学を学び、大学院ではゲーム分析を専攻。ケルン市内のクラブでこれまでU-10 からU-14 の年代を指導者として担当。ドイツサッカー連盟指導者B 級ライセンス保有。Twitter アカウント:@cologne_note